プロローグ



そこには初め、何も存在しなかった。
人も、動物も、大地も、空も、空気も、宇宙でさえも・・・。
そして、その真っ白な空間に、エレメントの神々はやってきた。
風、炎、水、地、雷、氷、闇、光。
真っ白だった空間は、“世界”になった。

時がたち、“世界”に興味を持った別の神がやってきた。生命の神、カナル・ディールク。
“世界”に生命が生まれ、オリス・ルートと呼ばれるようになった。

エルタニア歴1年。
生まれた小さな命のために、神々は協力して、“世界”の中心に、あるシステムを置いた。
いつまでも、この小さな生命に幸せがあるようにと願って・・・。
−システム・ヴォルフィード−
生命体の感情を集め、世界の中心にある島で具現化するシステム。
幸せが、永遠に繰り返される。
そこは、神々に守られし、永遠の楽園。
−悠久の大地、エルタニアの誕生−
小さな生命を持つ者たちは、この小さな一つの島で、平和に暮らしていた。

エルタニア歴666年。
オリス・ルートに興味を持った別の神がやってきた。
破壊神、ウロヴォロス。
そして、大邪神ネオカロス・・・。
エレメントの神々は、小さな生命を持つ者達を守るため、この二人の神と対峙した。
後に語り継がれる、神々の戦争・・・ラグナロク、開戦・・・。
戦いによって、恐怖が生まれた。
負の感情は、システム・ヴォルフィードによって、エルタニアで具現化される。
オリス・ルートに、魑魅魍魎が生まれた。
魑魅魍魎はさらなる負の感情を生み出し、システム・ヴォルフィードはそれを具現化する。
永遠の幸せは、永遠の恐怖へと変わった。
やがて高い知能を持つ者たちは、エルタニアを離れ、
広大な大地で、それぞれに集団で生活するようになった。

エルタニア歴714年。
オリス・ルートで初めて、単一種族による国が生まれた。
霊憑族による、武国の誕生である。

エルタニア歴715年。
天使族が新しい国、聖ヴァルカン教国を建国。
武国との共存を始めた。

エルタニア歴720年。
精霊族による、イギス王国の建国。
自然保持と平和を願い、永世中立国を宣言。

エルタニアで戦い続けていた大邪神、ネオカロスは、
この“国”というシステムに興味を持った。
システム・ヴォルフィードの加護なくして、平和と幸福を保つことのできる“国”。

エルタニア歴777年。
生命の神、カナル・ディールクは、自らと共に、破壊神、ウロヴォロスを封印した。
しかし、それは同時に“世界”をも封印してしまった。
もう、他の神々による、オリス・ルートへの介入はなくなった。
大邪神、ネオカロスは、自分の敗北を悟った。
だが、あきらめてはいなかった。
ネオカロスは全ての力を使い、魔族を生み出した。

エルタニア歴778年。
魔族による、ヤクト第三帝国の建国。
“国”というシステムが、平和と幸福を保てるのならば・・・
恐怖と混乱も保てるはず・・・・。

エルタニア歴780年。
戦力を整えたヤクト第三帝国は、全世界に宣戦布告を出した。
戦う力のない他の国々は、滅ぼされるのを待つのみであった。

エルタニア歴781年。
力をなくした大邪神、ネオカロスを、エレメントの神々が退治した。
こうして、ラグナロクは終わりを告げた・・・。
神々はそれぞれに小さな生命を持つものたちのために、“国”へと降臨した。

エルタニア歴782年。
武国に炎と雷の神が降臨。国の名を阿修羅に変え、ヤクト第三帝国への徹底抗戦を開始。
聖ヴァルカン教国に風と氷の神が降臨。国の名を聖ヴァチスカン教国に変えて、阿修羅との共同戦線を張った。
イギス王国に水と地の神が降臨。イグラット王国に国名を変え、永世中立国として、“戦争”との戦いを始めた。
そんな中、闇の神、暗黒神ベルセルクはヤクト第三帝国に降臨し、その名をベルクヘヴン帝國と変えた。
―突然の裏切り―
神々は驚愕し、ベルセルクを説得しようとした。
だが、ベルセルクはベルクヘヴンを見捨てられなかった。
魔族・・・しかし、小さな命を持つ者たち。
彼らにも感情があり、幸せを望む者たちがいることを、ベルセルクは知っていた。
―ネオカロスの亡霊を取り去る―
それが、ベルセルクの願いだった。
その思いを知った光の神、アマテラスは、
システム・ヴォルフィードの本来の力を取り戻そうとした。
永遠の幸せを小さな命の者たちに与える、悠久の大地に眠りしシステムの復活。

エルタニア歴790年。
光の神は自らのしもべ、月詠霊族と共に、神破奴を建国した。
他国との戦争を避け、魑魅魍魎の退治をするための国。
魔族も含めて、すべての種族の幸福を願う生命が集まり、オリス・ルート初の多民族国家が誕生した。

神々が、多くの種族が、
それぞれの想いの中で戦い続け、2000年の時が過ぎた・・・。




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